安全管理の要点
(1)安全管理とは
指導者(引率者)が,参加者(子どもたち)が安全・安心に活動ができるようにする取組を「安全管理」とし,3つの段階に分けて考えることとします。
段階 | 内容 |
---|---|
活動前 |
①事故が起こらないようにする取組 ②事故が起こったときを想定した取組 |
活動中 |
①事故が起こらないようにする取組 ②事故が起こったときの迅速・的確な対応 |
活動後 |
①事故が起こった後の迅速・的確な対応 ②事故を繰り返さないようにする取組 |
(2)事故が起こるメカニズム
事故は,複数の要因が重なって起きます。例えば,雷鳴が鳴り響いているだけでは事故になりません。雷鳴の中,野外に出ることによって,落雷による事故が起きてしまうということです。
不安全な行動 | 知らない | 安全管理や野外活動に関する知識がない,情報が不足 等 |
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やれない | 応急処置や野外活動に関する技術がない,体力や精神力がない 等 | |
やらない | 怠慢,ルール軽視の組織風土,低い安全意識 等 | |
不安全な状態 | 物的要因 | 壊れている,性能が低い 等 |
自然的要因 | 大雨,強風,台風,落雷,濃霧,低温 等 |
(3)「危険予見義務」と「危険回避義務」
指導者には,危険な場所や事項を予め想定する「危険予見義務」と,その危険を回避する方策を講じる「危険回避義務」があります。これを怠ると,事故が起こった際,法的責任を問われることになります。
(4)小さな事故を見過ごさない
「1件の重大な事故の背景には,29件の軽微な事故が起こっており,またその背景には,300件の無傷な事故が起こっている」(ハインリッヒの法則)といわれています。「これぐらいは」という小さなコトを見過ごすことなく,きちんと対処していくことが大きな事故を防ぐことになります。
(5)安全管理に関することは文書化する
事前の実地踏査の結果や当日の活動記録,安全指導の内容などは文書として残します。
引率者間で情報を共有するだけでなく,次年度への引継ぎ事項になります。また,万が一事故が起こった際には証拠にもなります。