安全管理の内容
(1)活動前の安全管理
1)山口徳地自然の家職員からの情報取得
- ①活動場所の危険箇所や活動プログラムの危険事項
- ②事故事例
- ③山口徳地自然の家における安全管理体制(安全点検の実施状況,緊急時の対応内容 等)
2)事前調査(実地踏査)
- ①活動場所を事前に調査し,危険箇所や避難場所等を確認します。
- ②望ましいのは,実施時と同じ条件(例えば同じ時間帯),事前と直近で実施することです。
しかしながら,そうした時間を取ることが難しい場合,山口徳地自然の家の職員から情報を得てください。
3)安全管理計画の策定
- ①前述の情報を基に安全管理計画を策定します。
・安全指導の内容 ・緊急時の対応 ・保険の加入 等 - ②引率者間の打ち合わせで情報を共有します。
- ③必要に応じて,引率者の研修を行います(野外技術,応急処置法など)。
4)参加者への安全指導
- ①参加者に服装や持ち物,危険な場所や動植物,危険な行為など安全指導を行います。
- ②山口徳地自然の家で活動前に行う安全指導の内容を確認し,必要なことを指導します。
5)参加者の状況把握
以下のことについて,把握しておきます。
① 既往症 ②常用薬 ③アレルギー ④その他注意すること(人間関係,性格 等)
(2)活動中の安全管理
1)実施の判断
- ①引率者は,山口徳地自然の家職員と気象情報をもとに,実施の判断をしてください。
- ②山口徳地自然の家には活動プログラムごとに実施判断基準があります。
- ③気象条件の他に,指導体制や参加者の心身の状況等も判断材料になります。
2)参加者への安全指導
- ①健康観察を行います(体調が不十分な参加者は,活動を取り止める勇気を持つ)。
- ②活動の直前に指導することや,危険な行動をとった際に,その場で指導することが効果的です。
- ③指導は具体的に行います。
・例「スズメバチに注意してください」ではなく,「スズメバチを見たら,そっと静かにその場を離れること。手で振り払おうとすると,蜂が攻撃されたと判断しおそってきます」 - ④不参加者への指導も重要です。
・不参加者は,どこで,何をするのか,誰が指導するのかを明らかにしてください。 - ⑤人員点呼を必ず行ってください。
・最初の出発時だけでなく,休憩場所に着いた時や出発する時なども行います。 - ⑥指導者は,参加者から目を話さない体制をとってください。
・参加者を視野から外さない。
・隊列を組んだ登山の時は,指導者は先頭に立ち,それより前に参加者を行かせないようにします。また,最後尾に指導者がつき,これより後ろに参加者はいない状態にします。
3)事故が起こった時の対応
- ①事故者の救護にあたる(行方不明→捜索。ケガ→応急処置 等)。
- ②救護に当たる者が二次災害に遭わないように注意します。
- ③他の参加者(子ども)の安全を確保します。
・場所を移動させる。その場に待機させる。事故現場を見ないようにする 等 - ④山口徳地自然の家に連絡してください。
・自然の家による救助・捜索 ・警察や消防への連絡 ・病院への連絡 等
(3)活動後の安全管理
1)参加者の異常の有無の確認
- ①体調不良,虫刺され,植物によるかぶれ,ケガ等がないかを確認します。
- ②異常があれば必要な処置を行います。
2)事故が起こった場合
- ①事故者へのお見舞いや保護者等へのお詫びを必ず行います。
- ②保険の手続きを行います。
- ③捜索等で協力していただいた関係者にお礼をします。
- ④事故の原因を分析します。
- ⑤事故の経過,対応,原因,今後の対応等を報告書にまとめます。
【参考】安全対策のポイント
事前
身体面 | 精神面 | |
---|---|---|
参加者への指導等 |
□危険な箇所や動植物,行動 □服装や持ち物 □十分な睡眠などの健康面 □自己管理・自己責任の必要性 |
□事業参加への動機付けと参加不安の軽減 ・事業の目的の確認 ・活動内容に関する十分な情報提供 ・スタッフや緊急体制などの連絡 ・参加者から,自らの不安情報を取得 |
主催者側の管理等 |
□実地踏査の実施 ・1ヶ月前及び直前 ・できればスタッフ全員 ・危険な箇所の確認 ・スタッフの配置場所の確認 □緊急時の体制の整備 ・病院の場所(経路)や診察内容・診察時間,消防署・警察署の連絡先など(本所にお問い合わせください) ・学校や家庭への連絡網 ・残された者への指導体制 □天候の把握 ・プログラムの変更や事業の中止 □スタッフのトレーニング ・野外活動スキル ・応急処置スキル □保険の確認 ・加入の有無 ・適用条件と保障内容 □救急用品の準備 □道具・用具の安全確認 |
□参加者の状況把握 ・キャンプ経験や虫嫌い ・アレルギー,既往症,常用薬などの健康面 ・性格や行動特性,対人関係能力,人間(交友)関係などの精神面 □主催者と参加者とのコミュニケーション ・十分な事前情報の提供による安心感の醸成 ・人間関係づくりの工夫 |
活動中
身体面 | 精神面 | |
---|---|---|
参加者への対処 |
□救急措置
・状況判断→直ちに処置しなければならないかどうか ・必要な処置 ・処置者の感染防止(血液に,直に触れない等) □病院への搬送 |
□事故者への対応 ・落ち着かせる,励ます □他者への対応 ・落ち着かせる→状況の説明 ・再発防止の指導 |
主催者側の管理等 |
□気象状況の把握 ・現在,予報,過去(大雨など) □危険箇所の再確認 ・変化ないか(新たに発生したかなど,本所に確認してください) □フィールドまでの移動にも注意 □救急用品の携行 □緊急体制に沿った対応 ・指示系統の一本化と報告・連絡 |
□行動・表情等の観察 ・浮かない表情,独りぼっちの行動など □問題を感じた参加者へのアプローチ ・状況の把握と対応 ・スタッフ間での情報確認と共有 ・問題を感じた参加者のグループへの対応(事実の確認を怠らない,思い違いや思い込みによる誤った指導の防止) |
活動後
身体面 | 精神面 | |
---|---|---|
参加者への指導等 |
□解散前に身体的な異常がないか確認 ・ケガ,虫さされ,植物によるかぶれ |
□問題がなかったかどうかの把握と対応 ・保護者からの情報収集など □事故が起こった場合は,不安の軽減 ・状況の説明 ・再発防止の指導 |
主催者側の管理等 |
□事故報告書の作成 ・①誰が,②いつ,③どこで,④何をして,⑤どうなった,⑥どう対応した,を時系列で記載 ・事故の原因と今後の対策 □保険の手続き □事故者への見舞いなど |
□指導記録の作成 ・①誰に,②いつ,③どこで,④何をして,⑤どうなった,⑥どう対応・指導した,⑦指導に対する反応などを記録 |
【自然の家利用中に考えられる危険】
- 自然環境
・大雨,強風,台風,落雷,酷暑,倒木,土砂崩れ,積雪,道路の凍結- 動植物
・熊,猿,狸,マムシ,スズメバチ,クマバチ,アブ,ブヨ,ケムシ,ウルシ,ヤマハゼ,ツタウルシ,ヌルデ,マダニ- 活動のケガ・病気
・転倒,すべる,ぶつかる,落ちるなどでのねんざや骨折,裂傷など
・刃物(ナタ, 小刀等)の使用によるケガ,火の使用(野外炊飯時)によるやけど ・活動中の熱中症や,植物によるかぶれトゲ刺さり,虫刺され- 生活場面
・宿泊室内でのふざけやベッドからの転落
・食堂や浴室で走って衝突・転倒
・発熱,便秘,下痢,食中毒,精神的不安による腹痛や頭痛,生理痛など
・火災など,災害時における避難