集団宿泊活動の計画

(1)教育課程への位置付け

集団宿泊活動は,「特別活動」における「学校行事」の中の「遠足・集団宿泊的行事」(小学校)に位置付けられます。
しかしながら,理科や体育等の教科,道徳や総合的な学習の時間等との関連を図ることによって,教育効果を一層高めることができます。
なお,文部科学省の学習指導要領に関するホームページには,次のように提示されています)。

Q:青少年教育施設等を活用して一週間程度の宿泊体験活動を行う場合,教育課程上の位置付けはどのようにすることが考えられますか。特に,体験活動の一部を関連する教科の学習として位置付けることはできますか。

A:今回の改訂では,各教科等の指導に当たっては,体験的な学習や基礎的・基本的な知識及び技能を活用した問題解決的な学習を重視することが総則に規定されています。特に,一週間程度の集団宿泊活動については,高い教育効果が期待されます。宿泊体験活動については,そのねらいに応じ,教育課程上の位置付けを考える必要があります。活動全体を特別活動の学校行事として位置付けることができるのは当然ですが,例えば,農作業体験(社会),自然観察(理科),野外炊事(家庭)など,教科の内容にかかわる活動が含まれる場合,当該活動について教科の学習として位置付けることは可能です。なお,その場合には,各教科の目標や内容を踏まえ,指導計画において体験活動のねらいを明確にすることが求められます。また,例えば,宿泊地周辺の環境に関する探究的な活動が行われる場合には,その活動を総合的な学習の時間として位置付けることも可能です。

(2)「カリキュラム・マネジメント」の必要性

集団宿泊活動と学校での学習(事前と事後)を組み合わせたパターンは,図のように整理できます。
そして,各教科等の年間の教育計画の中に集団宿泊活動を位置づけるといった「カリキュラム・マネジメント」が必要になります。
このような教科等に位置付けた集団宿泊活動の展開例は,山口徳地自然の家を所管する国立青少年教育振興機構が作成した報告書に掲載されていますので,参考にしてください。ホームページからダウンロードできます。

『学校教育における「長期宿泊活動」の手引き 体験を通して学ぶ教科学習のすすめ』
『学校教育における「集団宿泊活動」の手引き-各教科等の関連を図る教育課程編成指導資料-』

(3)集団宿泊活動の計画・実施に当たっての留意事項

文部科学省は,前述の調査結果を踏まえ,次のことを提示しています(全国の教育委員会に通知)。
これらのことを集団宿泊活動の中に取り入れるとなると,一定期間(3泊以上)は必要になるのではないでしょうか。

  1. 宿泊体験活動の意義等
    ○日常の学校生活を離れて実施する宿泊体験活動期間中に,児童生徒の課題や目標を共有させ,集団生活の充実感を感得させることにより,連帯感や仲間意識の向上を図ること。
    ○宿泊体験活動を児童生徒の人間性や社会性涵養のきっかけとして,事前,現地での活動及び事後の指導を充実させ,他の学校行事などと関連性を持たせて継続的に取り組むこと。
  2. 計画に当たっての留意事項
    ○児童同士が話し合いの時間を持てるよう,プログラムに余裕を持たせること。
    ○児童が協力しなければ解決できないような課題性を持たせたプログラムにすること。
    ○特定の児童だけでなく,いろいろな児童にリーダーを体験させること。
    ○自分たちでルールを考えさせ,守らせること。
    ○自然体験活動と教科や総合的な学習の時間等の学習との関連を児童に意識させ,自然への関心を高めるなど児童の好奇心を刺激すること。
  3. 実施に当たっての留意事項
    ○宿泊体験活動において,児童同士の口論・ケンカなど,一時的な感情の衝突が起こった場合にも,その機会を捉えて相互理解していくための指導を行うこと。
    ○何か問題が起こった際にも,まず児童が自分で考えて解決できるよう,自発的・自治的な活動の指導を重視すること。

平成21年11月5日 文部科学省初等中等教育局児童生徒課